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2024年度開催の「原田裕規:ホーム・ポート」
原田裕規(1989-)は、2012年に「ラッセン展」や「心霊写真展」の企画でデビューし、社会の中で広く知られる視覚文化を題材とするプロジェクトからその活動をスタートしました。また近年は、広島や山口からハワイへ渡った移民について調査し、日系アメリカ人の混成文化を題材にした映像作品《シャドーイング》を発表しています。本作品内で登場人物は次のように語ります。
うんと遠くに行こうと出航しても、
まるで舵の曲がったボートみたいに同じところに戻ってしまう
その場所こそが「私自身」だ
私は決して「私自身」から逃れることはできない
本展タイトルと同名の作品《ホーム・ポート》は、日系人も多く移り住んだ町であり、2023年夏に大火に襲われたマウイ島ラハイナが描かれたラッセンの作品がもとになっています。広島出身であり、ラハイナへの滞在歴もある原田は、「母港」を意味するこの作品の題名を展覧会のタイトルに採用しました。したがって、本展は原田にとっての里帰り展であるともいえるでしょう。
本展では、原田が現時点の集大成とする新展開の平面作品に加えて、これまでに制作された代表的な映像/インスタレーション/パフォーマンス作品、10代の大半を過ごした「広島時代」の初期絵画などを紹介します。多様な展開を見せる彼の制作の歩みが「舵の曲がったボート」のように母港に帰還するさまを、ぜひご覧ください。
監修:広島市現代美術館
執筆:原田裕規、富井玲子、小髙美穂、松岡剛(広島市現代美術館)
インタビュー聞き手・構成:杉原環樹
翻訳:パメラ・ミキ・アソシエイツ、ジェームス・ケティング
デザイン:中野豪雄(中野デザイン事務所)
編集:臼井桃子(フィルムアート社)
発行者:上原哲郎
発行所:株式会社フィルムアート社
印刷・製本:シナノ印刷株式会社
ページ数:136ページ
仕様:B5判変型
展示風景
展示風景写真
写真の山|A Mountain of Images
写真の山
One Million Seeings
ドリームスケープ|Dreamscapes
湖に見せる絵
Waiting for
光庭
残照
ホーム・ポート
シャドーイング|Shadowing
シャドーイング
インタビュー/論考/資料
「母港」へ。そして、再び…… ──原田裕規インタビュー
〈私〉の作法──原田裕規の作品をめぐって 富井玲子
来るべき風景の夢を見る 小髙美穂
見るものと見ることを見せる、 原田裕規の主題/材質/技法 松岡剛
作家略歴
主要参考文献
作品リスト